with you
「でも、お兄ちゃんなんて、気にするほどじゃないと思うけど」
彼女は妹だからそうおもうことにいまいち気付いていないようだった。
あれだけかっこいい人を意識するなというのに無理があると思うから。
「そんなことないと思うよ」
私はそう返事をしたが、愛理は不思議そうに首を傾げていた。
「愛理」
そのとき、朝聞いたばかりの声が聞こえてきて、思わず振り返る。すると、そこには依田先輩の姿があった。
「今日は一人なの?」
愛理は涼しい顔でお兄さんに話しかけていた。
「一人。前原さんと一緒だったんだ」
彼に名前を呼ばれただけなのに、ドキッとしていた。
よくわからない間に彼と一緒に帰ることになった。
愛理と依田先輩が並んで歩き、その後ろを私がついていく形になった。