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第5章 見透かされた心
 蝉の鳴き声が響き渡る。ホイッスルが鳴ると、わたしは息を吐いた。


「お疲れ様」


 真由が笑顔でわたしを迎えてくれた。彼女に預けていたタオルを受け取り、額から流れる汗をぬぐった。


「ありがとう」


 笛の音が鳴ると、自然にそのコートを見つめる。そこにいたのは宮脇先輩だった。


 彼女とはあれ以来特に話すこともなかった。


 あえば挨拶はしてくれる。彼女と話すといいようのない緊張感を味わうのは今でも変わらない。


「もうすぐ愛理の試合だけど一緒にいかない?」



 応援したいという気持ちはあったが、先ほどまで動いていたせいか、体が重く、見に行くとは言い出せなかった。
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