傷だらけの白猫
あぁ〜あ、つまんねーな。
「俺、倉庫行ってくるわ」
「じゃぁ、美穂も行くぅ〜。」
「は?俺倉庫に連れてく女は惚れた奴だけって決めてんだよ。」
「なにそれ、美穂のこと好きじゃないのぉ?」
「あたりめぇ。」
だから早くどっか行けよ。
「さいってぇ!」
「じゃな」
「愁のバカぁ〜」
耳障りな女の声から逃れるように倉庫に向かう。
「つまんね」
これはもう口癖だ。
俺が使う入口は倉庫裏にある。
倉庫裏に回ると、女の姿が見える。
単純に彼女を美しいと思った。
何があったのかわんわん泣いて、しゃくり上げる彼女が、可愛いと思った。