傷だらけの白猫



あぁ〜あ、つまんねーな。

「俺、倉庫行ってくるわ」

「じゃぁ、美穂も行くぅ〜。」

「は?俺倉庫に連れてく女は惚れた奴だけって決めてんだよ。」

「なにそれ、美穂のこと好きじゃないのぉ?」

「あたりめぇ。」

だから早くどっか行けよ。

「さいってぇ!」

「じゃな」

「愁のバカぁ〜」

耳障りな女の声から逃れるように倉庫に向かう。

「つまんね」

これはもう口癖だ。

俺が使う入口は倉庫裏にある。

倉庫裏に回ると、女の姿が見える。

単純に彼女を美しいと思った。

何があったのかわんわん泣いて、しゃくり上げる彼女が、可愛いと思った。













< 6 / 10 >

この作品をシェア

pagetop