乾柴烈火 Volatile affections
そんな芳子さんは常々、

「いい?私たちのお仕事は、お店にお越し頂いたお客様におもてなしをする事なの。それが水商売なのよ。」

とプロのホテルマン顔負けの

見解を言う。

私と馬が合うはずもない人だ。

そんな、プロ意識の高い芳子さんが、

それまでの話とは何の脈絡ないのに、

「私は芳子で、それで充分だと思うんです。肩書きなんて、何の役にも立たないし、それで人間性を判断するなんて、ばかげていると思いませんか?」

と言ったので、

ぎょっとして真横の彼女を見つめた。

「そりゃそうだよ。一番大事なのは人間性だよー。さすが芳子だ!出来た女だね。本当にいい女だ。」

と上機嫌のお客さんが喋っている間

私はずっと彼女を見たけれど

彼女は何一つ表情変えることなく

笑顔を崩さなかった。


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