乾柴烈火 Volatile affections
この女は強すぎる、負けた。

そう思った。

勿論、彼女は30歳なのだから

勝てるわけがないけれど

例え30歳になっても

私が彼女の様に振舞えるとは

到底思えない。

帰国中に何があったか知らないけれど

彼女は誰かから否定されたのだと思った。

彼女の見た目と

同じくらい凛とした強さを備えた

芳子さんの心は絶対に折れないし

どこへ行っても

何をしても大丈夫だろうと思った。

私は少し、

芳子さんの事が好きになった。




その日の閉店後に、

ちょっとした事件が起きた。



< 108 / 144 >

この作品をシェア

pagetop