乾柴烈火 Volatile affections
その日私の隣にいた男は

Justinだった。

別れよう

そう切り出したのは数ヶ月前で

理由を伝えるわけにはいかなかった。

Justinは、

頑なに拒否をして、

私の傍にいたいと言って下船して

本当にそうしてしまった。


理由をちゃんと話せば

下船してまで私の傍に来る事は

なかっただろう。

だけど私には、

彼に本当の事を話す勇気も、

嫌われる事で彼を突き放す

優しさも持ち合わせてはいなかったし

そんな優しさが少しでも私にあれば

最初から付き合ってなどいなかった。 



Justinに対して私は、

間違いなく卑怯だった。

私は、Justin以外の男に対して、

私が卑怯だと思った事はない。

彼らが、

私の手持ちのカードを

全て把握しているわけも当然なかったが

そのいくつかを知っている

それでなくても何かを感じ取った上で

私と関係を持つからで

それはお互い様だと言えた。
 

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