乾柴烈火 Volatile affections
仕事をクビになった私の
最後の香港の夜を過ごしてくれた相手
それは永田さんだった。
その頃二人の定番になっていたお店で
飲み明かしながら
泣き喚く私を慰めてくれた。
泥酔したので
何を言ったか覚えてはいない。
それでも、
私は香港が好きだった、
また必ず行くから、
そう言い続けていたことだけ
覚えている。
その間
何も言わず
私を泣かせてくれた彼も
やっぱり大人で、
優しくて賢くてずるい、
そういう素敵な男だと思う。
翌朝も一緒にいてくれて
空港まで見送ってくれた永田さんに
別れを言うのは辛かった。
好きで不倫をやっているとはいえ
睡眠時間を割いてまで
私を支えてくれた一人だった。
彼が、明け方いつもネクタイを締めて
家へ帰って行くのが
いつも少し切なくて寂しかった。
不倫だけに夢中になって、
身を滅ぼす女の物語が世の中に溢れている
理由と、身を滅ぼす女の心が少し理解できた。
ありふれた話だけど、
ありふれた話だからこそ、
リアルに人は苦しんでしまう。
「不倫だけは、ホントに洒落にならないから、これが最初で最後。絶対こんなのを本命にしたら、痛すぎる。」
そう思っていたことは、
彼には最後まで言わなかった。
そして私は、
飛行機の上から香港を眺める。
私は、香港にまで失恋した。
今回の失恋は痛すぎた。
笠原さんは私にああ言ったけど、
私が自分を愛する事は、
どう頑張っても
できないかもしれない。
だからせめて、
私が私を認めてあげる事が
できるようになった時、
私は必ずまた香港に来ようと思う。
だからそれまで待っていて。
そこに辿り着くまで、
きっと私が思う以上の時間がかかる。
だけど、
この次はもっとちゃんと頑張るから、
その時がきたらもう一度私を呼んでね。
香港の景色は
あっという間に海の景色へと変わって、
昨晩飲み過ぎで寝不足の私は、
そのまま眠りについた。
最後の香港の夜を過ごしてくれた相手
それは永田さんだった。
その頃二人の定番になっていたお店で
飲み明かしながら
泣き喚く私を慰めてくれた。
泥酔したので
何を言ったか覚えてはいない。
それでも、
私は香港が好きだった、
また必ず行くから、
そう言い続けていたことだけ
覚えている。
その間
何も言わず
私を泣かせてくれた彼も
やっぱり大人で、
優しくて賢くてずるい、
そういう素敵な男だと思う。
翌朝も一緒にいてくれて
空港まで見送ってくれた永田さんに
別れを言うのは辛かった。
好きで不倫をやっているとはいえ
睡眠時間を割いてまで
私を支えてくれた一人だった。
彼が、明け方いつもネクタイを締めて
家へ帰って行くのが
いつも少し切なくて寂しかった。
不倫だけに夢中になって、
身を滅ぼす女の物語が世の中に溢れている
理由と、身を滅ぼす女の心が少し理解できた。
ありふれた話だけど、
ありふれた話だからこそ、
リアルに人は苦しんでしまう。
「不倫だけは、ホントに洒落にならないから、これが最初で最後。絶対こんなのを本命にしたら、痛すぎる。」
そう思っていたことは、
彼には最後まで言わなかった。
そして私は、
飛行機の上から香港を眺める。
私は、香港にまで失恋した。
今回の失恋は痛すぎた。
笠原さんは私にああ言ったけど、
私が自分を愛する事は、
どう頑張っても
できないかもしれない。
だからせめて、
私が私を認めてあげる事が
できるようになった時、
私は必ずまた香港に来ようと思う。
だからそれまで待っていて。
そこに辿り着くまで、
きっと私が思う以上の時間がかかる。
だけど、
この次はもっとちゃんと頑張るから、
その時がきたらもう一度私を呼んでね。
香港の景色は
あっという間に海の景色へと変わって、
昨晩飲み過ぎで寝不足の私は、
そのまま眠りについた。