乾柴烈火 Volatile affections
思わずその声の方角を見る。

可愛さんと彩だ。

ボックス席がもういっぱいだから、

3名のお客さんを

カウンターで接客していたのだろう。 

『彩はこれにどうやって切り返すのか』

と思って様子を伺う。

ストリップショーの歓声がうるさい。

彩が何を言ったのか

私には聞こえなかったけど、

可愛さんがその後すぐに席を外して

さっきまで直線を描いていた

お客さんの背中が曲線を描いたから、

とりあえず彩が勝ったことだけ分かった。

少しほっとして、

私は自分の接客へと戻った。

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