乾柴烈火 Volatile affections
「田中さん、こんばんは。お久しぶりです。」

私は、にっこり笑顔を作って、席に着いた。

「お二人は、今日はじめてお越しになられました?お名刺交換してもいいですか?」

名刺交換をして、住所をさっと確認する。

日本だ。

これは田中さんが日本の出張者の

お客様を接待している構図だと思う。

この場を楽しんでもらうには

どうしたらいいだろう。

「ご出張ですか?おつかれさまです。SARS騒動も以前より下火になって、最近は、ご出張の方も戻ってこられて嬉しいです!香港は、いかがですか?」

「いやー、楽しいよ。志保ちゃんは、いくつなの?」

「いくつだと思いますか?」

「えー、26才?」

「失礼ですね、まだ23才です!」

「あれ、思ったより若いね~」

「いつも25歳以上だって言われます。この間なんて30才と間違われちゃったんです。」
「志保ちゃんは、香港にはどれくらいいるの?」

この手の質問をしてくるタイプは、

日本人の23才の私が

なぜ今ここにいるのか

に興味があるタイプ。

「お店には2ヶ月くらいですかね?でも香港には、かれこれ2年間住んでいますよ。」

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