乾柴烈火 Volatile affections
茶餐厅で軽い夕食をとった私たちが

最初に向かったのは

ドッグレースで、

残念ながら全員負けてしまった。

挽回しなきゃと話しながら

向かったのはもちろんカジノ。

私には

マカオでしか成し得ない

夢がひとつだけあって、

それは私が

10代のときに何回も読んだ

深夜特急1巻で

沢木耕太郎がのめりこんだ、

大小という賭博を

同じようにマカオの地でやってみる

と言う事だった。

それを初めてのカジノにしたかったから

今日この日まで

ギャンブルに手を出してはこなかった。

皆がそれぞれ別行動で

自分のやりたい賭博の場所に行く中

私は、浩賢に

どうしても大小がしたい旨を伝えると

オーケオーケーと言いながら

彼は私を台まで連れて行ってくれて

一緒にやることになった。

最初、

100香港ドルを賭けて外した私は

しばらく様子を観察するわ、

浩賢にそう言って、

ゲームの流れを見ることに

集中した。

その間、ずっと浩賢は

賭け続けていたようだった。

私がいつまで経っても賭けないから、

浩賢が、

志保はやらないの?と

聞いてきたので私は、

まだやらない。

と言ってその後

3回見学した後、

再び賭け始めた。

小、当たり。

次は大に賭けて、当たり。

この次も大、やっぱり当たり。

浩賢が、

彼の一重で細い目を

限界まで丸くして

本当に驚いたような顔をして

私を見た。

この次も、絶対に大だろう。

浩賢は、

私と同じところに賭ける事に

したらしい。

その後

小が2回続いてこれも当たった。

次は、大。当たり。

だけど、残念ながらその次は、

私には分からなかった。

浩賢に、

これは当たらない気がする。

と伝えてゾロ目に賭けた。

結果はやはり小で私は負けた。

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