乾柴烈火 Volatile affections
2年前から香港に居たとはいえ、

船員であった私に

夜遊びをする自由などなく、

船員時代のディスコといえば、

やはりCrew Barで

毎週木曜日に行われる

ディスコナイトだったが、

これは、

私でもSucksと言える位だった。



蘭桂坊を全く知らなかった

わけではない。

何度かは足を運んでいたし、

何かと私の面倒を見てくれる浩賢が

ディスコに連れて行ってくれた

こともあったけど、

Coolだと思えるものではなかった。

そんな私に対して、

東京生まれで東京育ちの彩は、

クラブ通いに相当慣れていて、

それは私にとって尊敬に値した。

彼女は

東京の遊びについて

たくさん話をしてくれて、

そのエピソードひとつひとつが、

東京を知らない私にとって

刺激的だった。

そんな彩だから、香港のクラブ情報を

キャッチするのも早く、

蘭桂坊には

私以上に何度も通っていて、

今回私の案内人となってくれたのだ。


蘭桂坊で、

司さんと、

毎週土曜日だけ出勤をしている梢さんに

ばったり出くわした時には、

何となく邪魔されたような、

嫌な気分になった。

一緒に飲もうよ、

と言われれば断れるわけもなく、

彩と私は

彼女達と一緒にお酒を飲むことにした。


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