乾柴烈火 Volatile affections
事の発端は、

常連さんを彩と同席して

接客した際の

彩の一言から始まった。

「ちょっと、聞いてくださいよぉ。志保って本当に掃除魔で怖くて。私、それで志保にいじめられるの。」

「はぁ?あんたちょっと待ちなさいよ。何言ってんの?」

「やだぁ、怖いっ!志保はこんなに可愛い顔して普段はこんな口調で私を・・・。」

「ふざけるのもいい加減にしな?そもそもあんたが片付けないからでしょ?待って下さい、私の意見も聞いてください。彩は、本当にありえないくらい、片付けられないんです!」

そう言って、

私は先日の

鍋蓋チャーハン事件

について語った。

「確かに私は片付ける事ができませんよ。でもね、一昨日なんて、洗面所からの音が聞こえてきて、目が覚めてしまって。寝る事もできないから、とりあえず起きて様子を見に行ったら、志保が真剣に掃除していたの。怖かったぁ。だって、それ朝の5時ですよ。ありえなくないですか?遂に頭がおかしくなったのかと思っちゃいました。非常識にも程がありますよね?」

「ちょっと!頭がおかしいのはどっち?非常識はどっちよ?そもそも、あんたの頭の中に常識と言う単語があるとでも?あんたが私に常識を語る資格は今もこれからも、死ぬまで絶対にないわよ!」

「ひどーい、この掃除魔。」

「不潔な女よりよっぽどましだから!」

「しかもね、志保はいつもTバックばかり履くの。」

「あぁ?あんたは腹までしっかりあるババパンしか履かないだろうが!」

「だからね、干されている下着がいつも痛そうだって言ってるじゃない?」

「うるさい!あんたも私を見習って少しはダイエットしたら?」

「いやー。ストイックマゾになんてなりたくもない。」

「私はストイックじゃない!あんたにルールがなさ過ぎるだけなの!」

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