乾柴烈火 Volatile affections

My last voyage

オーシャンターミナルから、

船のチェックインカウンターへ向かう。

流れているBGMは相変わらず

Do as infinity の

Yesterday & Today。

この歌をもう何年かけ続けているのか

知らないけど、

少なくとも私が乗船している間は

ずっとこの曲だった。

きっとこれからも

この歌を聴く度に私は

ここの景色と空気を思い出すのだろう。


チェックインをする。

香港人スタッフの中で

私が香港に居る事を知っていたのは

浩賢だけだったので、

他のスタッフ達は一様に、

下船して日本に帰ったはずの私が

いる事に驚いている。

今となってはSARSで

旅行者の寄り付かない香港に

こうして戻ってきたのだから

それは驚いて当然だった。

皆に挨拶をして出国審査へ向かう。

今日、私を出国させてくれるのは黄先生。

仲がよかった審査官の一人だ。

「志保は、本当に香港が好きだね?」

と言われたから、

「そうだよ。だから私は、絶対に香港に残ってみせるの。」


そう笑顔で肯定して、

出国の判子を押してもらった。



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