乾柴烈火 Volatile affections
香港に到着して、

まずは空港の大きさに驚いた。

入国手続きを済ませて、

バックパックを預けて、

案内のカウンターで

地図をもらった私は

今日の一晩しか時間がない事、

香港一の繁華街に行きたい事を伝え

どのバスに乗れば良いかを

教えてもらった。

2階建てのバスの中で、

ずっと景色を眺めていた。

英語圏以外の場所を旅行するのも

はじめてだった私は、

注意深くその景色を眺め続けて

明かりが強くなっていって、

少し明かりが暗くなったところで

バスを降りた。

これは後に分かる事だけど

私が降りた場所は

尖沙咀で、

走っていたのは

ネイザンロードで、

ペニンシュラホテルに近い

停留所だった。

繁華街の原色の光の色遣いに

感動しながら、

光のより強かった方向へと

歩き出した。

そうして私は、

佐敦、

油麻地の辺りを

3時間くらい

ひたすら歩いたようだった。

熱気と活気、

原色の派手なネオンに

ただただ圧倒されながら。

尖沙咀の

一番先端にたどり着いた時、

夜中12時を過ぎていていたけれど、

私は少し疲れていたことも

忘れるくらい、

目の前の広がる

香港島の景色に

感動してしまって、

心を奪われてしまった。

この景色を

可能な限り

ずっと見ていたいと

その時心から思った。


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