乾柴烈火 Volatile affections
はじめての礼拝は、

居る事さえ申し訳なくなるほど

何をしているかさっぱり理解できない。

聖書の英語が理解できるほど、

英語ができるわけではないのだから

当たり前。

歌を歌って

良く分からないお話を聞いた。

その後、

見たこともないアクティビティーが

始まった。

それは聖職者が祈りながら

一人一人の信者の額に触れていくと

信者がそのまま倒れるというもので

もちろん

倒れる信者を支えるスタッフ達が

後ろにいるけれど、

倒れた信者達が

それぞれに泣いていたり

真剣に祈っていたりする様を

目の当たりにしたのは始めての事で、

その光景は滑稽に映った。

それでも、

先程までの和やかな雰囲気とは

打って変わった、

とても厳粛な雰囲気で

行われている事は伝わった。

神社ではないのだから、

何かについてどうにかしてください

と祈るわけにはいかない。

私は何を祈ればいいのだろう。

周囲を見ながら考えた私は、

God bless someone,という

形態をとることにした。

私の番がきて、

額を押された私は

見よう見まねで倒れた。

1人1人、

私の大切な人を思い出し続けて

そうやって思い出せば

自然と涙はでた。

家族

恋人

仲間

友達

私と出会ってくれた人たち。

最後、

God bless…meと呟きかけて

『いや、それはとてもじゃないけど言っちゃいけないな。』

と思ってしまった。

それすら言えないほど汚い私自身に

流していた涙もぴたりと止まった。


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