乾柴烈火 Volatile affections

Drug file No,2

彩のへたくそな鼻歌のせいで、

昼頃に起こされた。

パーテーションを開けると

昼間から黒いドレスに身を包み

どうやって日本から持ってきたのだろう

ばかでかい美顔器を使って

顔のお手入れをしているところだった。

それにしても、

私がどれだけ片づけても、

片づけたそばから

彼女は散らかしていくのが

本当に好きなようだ。

私は、あちこちに散乱した

小物達を眺めてため息をついた。

『この浮かれようは昨日お店に来たあのおじいちゃんとデートだろうな』

と思いながらコーヒーを淹れた。

彩は分からないことだらけの女だけど、

そんな彩の男の趣味が

私には1番理解できない。

コーヒーを片手にリビングに戻って

ソファーに座った。


「何?まだ早いけど、昨日のおじいちゃんと今日はデート?」

「そうだよ、これからセックスしにいくの。」

浮かれた笑顔で言い放った彼女に対して

思わずコーヒーを吹き出しそうになった。

やっぱり、

彩の考える事は私には理解できない。

「・・は?」

「私、あのおじいちゃんの愛人になるの。お金払ってくれるって。幾らもらえるのかなぁ?超楽しみ。」

「あんた、まさかそれ本気で言ってんの?」

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