練乳いちご





静かな時間が流れる。

その間もお互いのおでこはくっついてて、何故か安心した。



「聡美、」
「…何?」


顔が、離れた。
…寂しくて、でもくっついてたいなんてワガママは言えなくて。

優はそれを察してくれたのか、クスリ、と笑って、あたしの目元にキスを落とした。




「~っ?!」
「目元、濡れてる。泣いてた?」



恥ずかしくて、恥ずかしくて。

あたしは目線を合わせずに答える。



「痛くて泣いてた…けど、ゆ、優が来てくれたから、もう平気。」

「…そっか。」



そう言って笑う優は、すごく輝いてみえて。


あ、あたし、この日だまりみたいなヒトが大好きなんだって、初めて気づいた。





< 20 / 23 >

この作品をシェア

pagetop