不器用な青年たちへ
温かな風が、桜の花を散らす。


ピンクの絨毯になった地面を歩くのは、何だか照れくさい。



けれど、いつもここで写真を撮る。



毎年、毎年




「いくよー!!飛びっきりいい顔してくださぁい!!」



彩夏がにっこりと微笑み、セルフタイマーのボタンを押す。


僕の隣に駆け寄り、腕を掴む。



毎年、毎年



ちらりと隣を見ると



千汰が無愛想な顔をしている


毎年、毎年



その隣には、舌を出して変顔を作る珠樹。


毎年、毎年




変わらない空間が、たまらなく嬉しい。


いつまでも、こうやって写真を撮ろう。







思い出は、残しておくべきなんだ。
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