不器用な青年たちへ
「見た?珠樹とちー君っ!あいつら付き合ってるわけ?」

「キレすぎ。ただ喋ってただけじゃん」



オリエンテーション前、彩夏の愚痴は止まらない。


「早くクラス戻れよ」


「バックレようよ、千汰ぁ!退屈過ぎて死んじゃう」



自然に俺の腕を引っ張るのは、そこに何も感情がないことの証。



「どこに?」


「ん~カラオケっ!」



けれど、その腕を突き放せないのは




俺に感情があるから。




何もなくたっていい。



ここにいてくれるのなら
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