不器用な青年たちへ
僕の家は母子家庭で、小学校時代は苛めの標的だった。


それにプラスして、母親が夜の仕事をしていたので



これは苛めのネタに、ならないわけがなかった。



何人に囲まれようと、黙ってやり過ごす。



母子家庭で

母親がお水で

息子が暴力的なんてことになったら

きっとこの先の人生に、敵が増えるだけだと思ったから。



耐えに、耐えた。




体育倉庫に閉じ込められた時も

給食に絵の具を入れられた時も

荷物を棄てられた時も



耐えに、耐えた。




そしたら、現れたんだ。



救いの手。



「やめろよ」



あの声は、今も時々思い出す。



小学生にしては、低い声だった。
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