Maidoll Factory
埒があかない。

「あの」

「うひゃい!」

声をかけると裏返った上に奇声とも言える言葉で少年は返事した。

「…間違っていたらすみません…当店に御用の方ですか?」

中学生とはいえ、もしもお客様だったらいけない。

年下にも失礼のないように話しかける。

「……っっ」

少年は口を真一文字に結び、顔中に汗を垂らし、こちらにまで聞こえるほどの音でグビリと唾を飲み込み。

「あ!あのっ!」

意を決したとばかりに声を張り上げる。

「メイドールを一体下さいっっっ!」

…つまり、当店のお客様のようだった。

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