Maidoll Factory

「実は僕、もうすぐ誕生日なんです」

店内へとご案内し、まずはお話を伺おうと、るちるが紅茶を淹れて出したのだが、彼はそれには口をつけないまま話し始める。

相当に緊張している様子だった。

「それは…おめでとうございます」

ニッコリと微笑みかける僕。

「それで僕の祖父が、誕生日に欲しいものを買ってやると言ってくれまして…僕は自動人形をねだったんです」

それでこのメイドールファクトリーに来店した訳か。

自動人形というのは、かなりの高額だ。

自律型の知能を持ち、人間と見紛うほどの精巧な容姿を持ち、食事も出来れば病院での診察も受けられる。

その中でもこのメイドールファクトリーで創造される自動人形…メイドールは、唯一人間との結婚も法律上可能だし、子供を設けられるタイプの高性能自動人形だ。

天空宮市に何店舗か存在する自動人形製造工房の中でも、最高級として知られている。