Maidoll Factory
本来ならば、中学生への誕生日プレゼントとしては過ぎたものであるメイドール。

彼の祖父と言うのは相当な大金持ちなのかもしれない。

しかし、彼がメイドールを買い求めに来た理由はそれだけではなかった。

「僕、天空宮学園の工学科に通っていて、造形物や機械にはすごく興味があるんですけど…初めて街中でメイドールを見かけた時、それが自動人形だなんて信じられませんでした。自然な表情やたどたどしさを感じさせない言語、しなやかな体の動き、周囲の人間に対する心配り…人間以上に人間らしいメイドールに、僕は凄く憧れたんです…造形美と機能美を突き詰めると、自動人形もあそこまで進化できるものなんだなって…」

「……」

熱っぽく語る少年の表情を見ながら、僕はるちると顔を見合わせてクスッと笑った。

そうか…。

彼も僕やるちると同じだ。

ただ最高級だから、高性能だから。

そんな理由で彼はメイドールを選んだんじゃない。

『創造する者』として。

彼は『自動人形』を好きになったのではなく、『メイドール』を好きになったのだ。

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