Maidoll Factory
魔法エンジンというからには、もっと機械的なものを想像するかもしれない。

が、魔力をメイドールの全身に伝達する機能を持つ動力源という意味では、まさしくこの蒼い宝石はエンジンとしての役割を果たす。

同時にこの魔法エンジンは、メイドールの思考、感情、性格なども司る。

この魔法エンジンは蒼い宝石だが、個体によって真紅だったり群青だったり紺碧だったり、様々な色を持つ。

その色がメイドールの個性そのものであり、似た魔法エンジンは存在しても、全く同じ魔法エンジンというものは存在しない。

全く同じ人間というものが存在しないのと同じ事だ。

「そら、出来たぞ」

おやっさんは出来上がったばかりの魔法エンジンを、僕に手渡した。

手に取ったそれは温かみを帯び、大きさ以上に重みを感じる。

当然だ。

これはメイドールの『魂』であり『人格』。

それが軽い筈はない。

おやっさんはメイドールの『生命』そのものを創造できる、天空宮でも数少ない職人なのだ。

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