Maidoll Factory
魔法エンジンを両手でしっかりと抱えて、僕は作業部屋へと戻る。

作業台に寝かせたままにしてある作りかけのメイドールの骨格。

その左胸に、慎重に魔法エンジンを組み込んで固定。

擬似神経と接続する。

…ぼぅっ、と光を放つ魔法エンジン。

その光が擬似神経を通って、全身に張り巡らされていくのがわかる。

が、現段階ではメイドールは動かない。

『呼びかけて』『目覚めさせない』限り、メイドールの揺りかごで眠っているメイドール達と同じ、ただの人形に過ぎないのだ。

僕は作業台の近くに、肌色の粘土のようなものをバケツいっぱいに準備する。

泥のような、ゼリーのようなそれは、人工細胞。

骨格、擬似神経、人工筋肉、人工臓器、魔法エンジンで構成されたメイドールの表面に、その人工細胞を盛っていき、人間の形へと造形していくのだ。

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