Maidoll Factory
メイドールを人間そのものの精巧な姿に造形していくには技術が要る。

僕は両手に魔力を集中する。

…微かな光を帯びていく僕の両手。

ちょうど魔力の手袋をつけているような感じだ。

その両手でバケツの中の人工細胞を取り、骨格だけのメイドールの頭部へと盛っていく。

魔力は人工細胞へと浸透し、瑞々しく生命力に溢れた肌へと整えられていく。

…これは僕が卒業した、天空宮学園魔法科錬金クラスで教わった技術だ。

錬金術とは、最も狭義には化学的手段を用いて卑金属から貴金属(特に金)を精錬しようとする試みの事。

広義では、金属に限らず様々な物質や人間の肉体や魂をも対象として、それらをより完全な存在に錬成する試みを指す。

つまり生命の創造をも視野に入れた魔法技術だ。

僕にはおやっさんのように『生命そのもの』である魔法エンジンを造る技術はまだないけれど、天空宮学園で教わった『生命力溢れる質感』を出す事ならば可能なのだ。

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