Maidoll Factory
小さな耳、通った鼻筋、柔らかそうな頬、ふっくらとした唇。

呼吸しているのが目に見えて分かるような肌の質感を、僕自身の魔力と人工細胞で再現していく。

眼球は水晶を加工して、これにも同じ要領で魔力を浸透させてはめ込む。

頭髪は人魚やエルフ族の女性の頭髪を分けてもらい、それに魔力を通したものを植毛していく。

限りなく『生きている感じ』を出す為に、素材もなるべく生きているものから分けてもらうのだ。

こうしてメイドールの頭部が完成。

今にも目を開けて語りかけてきそうなほどのリアルな顔立ちだ。

尤も、おやっさんには「まだまだ、50点だな」なんて言われる出来だけど。

そのまま僕は顎のシャープなラインを修正して、細い首筋、鎖骨の辺りにまで人工細胞を盛り、そのまま更に下の…その…。

「………ゴホン」

わざとらしく咳払いし、僕は手を止める。

女性型メイドールの体のラインを造形するのは苦手だ。

名誉の為に言っておくと、造れない訳じゃない。

ただ、その…女性の肢体だ。

僕は男な訳で…。

何だか女性の体を撫で回しているみたいで、少々気恥ずかしいのだ。

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