Maidoll Factory
受注したメイドールの製作も順調で、納期には余裕で間に合いそうだ。

新しくメイドールを注文するお客様も、今は落ち着いている。

今のうちに、おやっさんから魔法エンジンの制作方法を教わっておきたいし、るちるにもメイドールの頭部の製作技術をマスターさせておきたい。

僕もるちるも、一人で一体のメイドールが造れるようになるのが理想的だ。

自動人形専門店を一軒任せられるほどの人形技師に育成したい。

それが、おやっさんの狙いでもあるらしい。

でもおやっさんの域にまで達するには、僕もるちるもまだまだ。

その技術はおやっさんの足元にも及んでいない。

何とか売り物になる程度の造形技術は身につけたものの、あくまで市販レベルだ。

おやっさんが若い頃に製作したメイドールは、既に魔法エンジンの寿命が尽きて動かなくなった物でも、その造形技術の高さから、ネットオークションや天空宮学園のフリーマーケットで、超高額で取引される事もあるのだという。

当の本人は、「若ぇ頃の未熟な仕事がいまだに取引されてるなんて、みっともねぇ、恥さらしてるようなもんだ」なんて言ってるけど。

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