Maidoll Factory
それに、魔法エンジンの寿命の尽きたメイドールは、いわば『死んだ身』だ。

亡くなった後も金銭で取引されている、おやっさんが若い頃に製作したメイドール達。

おやっさんはその事に心を痛めている。

既に天寿を全うしたメイドール達は、安らかに眠らせてやりたい。

それがメイドールを生み出した人形技師である、おやっさんの願いでもあるのだ。

…そんな事を話しながら小エビのサラダのサンドイッチを完食し、カフェオレで喉を潤している時だった。

「すみませーん!すみませーん!誰か…誰かお店の人はいませんかぁっ!?」

工房の入り口の方で男性の声がした。

お客様だろうか?

「あれぇ?お店のドアに『rest(休憩中)』の札ぶら下げてたのになぁ」

るちるが、まだのんびりとサンドイッチを咀嚼しながら首を傾げた。

…お客様の声は、どこか切羽詰まった感じだった。

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