Maidoll Factory
アリシアちゃんは裏庭のセメタリーに丁重に埋葬される事になった。

立派な墓も建てられるし、これならばいつでも男性が会いに来る事もできるだろう。

何度も何度も頭を下げ、来店した時よりは元気になって…しかし寂しげな背中で、男性は帰って行く。

「何だか可哀相です、お客さん…」

るちるがションボリする。

「生命を持っている以上、いずれは別れが来るんだ。それは仕方のねぇ事だし、だからこそ俺達人形技師は、最高の出会いをお客に提供できるようにメイドールを創造しなきゃならねぇんだ。わかるか?ヒヨッコども」

ツナギのポケットにねじ込んでいたせいで、僅かに曲がった煙草を口に銜え、おやっさんが紫煙を吐き出す。

一期一会というのは、何も人間だけに限った言葉ではない。

僕は今回の件で、その事をしみじみと感じていた。

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