Maidoll Factory
傘なんて悠長に差している暇はなかった。

僕はるちるの案内で、そのメイドールが倒れているという6番街の交差点へと向かう。

…外に出ると、思いの他に雨は強く降っていた。

まだ何メートルも走らないうちにツナギは雨でびしょ濡れになり、水を吸って重さを増す。

こんな雨の中、いつからそのメイドールは倒れていたのだろう。

「あ、あそこです、先輩!あの建物の陰のゴミ置き場!」

前を走っていたるちるが指差す。

メイドールファクトリーから程近い6番街。

その交差点の片隅にある雑居ビルの陰。

少し通行人からは見えづらい、ビルの陰のゴミ置き場。

ビニール袋に入れられたゴミや、ポリバケツがまとめて置かれているその場所に、ずぶ濡れになったエプロンドレスを着たまま横たわっている、蒼い髪の女の子の姿が見えた。

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