Maidoll Factory
通行人達に関わっても仕方ない。

僕は倒れていたメイドールに声をかけ続ける。

「おい、しっかりしろ。意識はあるか?」

メイドールの頬を軽く叩きながら、声をかけ続ける。

やがて。

「あ…う…?」

ずっと目を閉じたままだったそのメイドールの女の子が瞳を開く。

僕はまずその瞳を確認する。

よかった、まだ魔力の輝きが残っている。

魔法エンジンの不調という訳ではなさそうだ。

「大丈夫か?君、名前は?君のご主人様はどうしたんだ?」

冷え切った彼女の体を抱き上げてやる。

「あ…名前…?…ご主人様…?」

虚ろな視線を彷徨わせる彼女。

「そう、何でこんな所に倒れてたんだ。君のご主人様はどこにいるの?」

「ご主人様…」

焦点の定まらない目が、宙を彷徨う。

…嫌な予感がした。

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