Maidoll Factory

普段歩くよりも、そっと、そっと。

まるで赤ん坊の眠りを妨げないように気遣うみたいに。

僕は忍び足のようにその部屋へと踏み入る。

…そこにいたのは、透明なカプセルに入れられた数人の美少女達。

目を閉じ、静かに眠っているように見える。

が、寝息は立てていない。

当然だ。

彼女達はまだ目覚めた事すらないのだから。

「おはようメイティス、昨日はいい夢見れたかいナナリア、ロイフェは気分どう？ミレンダは機嫌よさそうだね、ケイティ今日もよろしくね、ミリリア元気かい？」

カプセルに触れ、一人一人に優しく声をかけていく。

返答はない。

勿論それは分かっている。

ここにいるのは全て、買い取ってくれるご主人様を待つ新品の自動人形…メイドール達。

まだ命の灯を入れてもらっていない、母親の胎内にいる赤ん坊同然の存在なのだ。