Maidoll Factory
仕方なく店の方に上がり、メイドールの顔の造形をしながら考える。

どんなに思考を巡らせても、考えあぐねるばかり。

おやっさんの問いの答えは出ない。

誰の為にメイドールを作っているのか。

お客様の為じゃなかったら誰の為だ?

客商売なんだから、お客様第一じゃなくてどうするんだ?

…でもおやっさんは、僕がそんな心構えだから上達しない、と言いたげだった。

だったら…。

「なぁに暗い顔してるんですか?」

「わ」

突然視界が遮られる。

驚いて振り向くと。

「隙だらけですねぇ、先輩。なんかありました?」

るちるが僕を目隠ししていた。

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