Maidoll Factory
こいつはいいよな、いつだって呑気で…。

呆れ半分羨ましい半分で溜息をつく。

が、どちらかと言えば、るちるは僕寄りだ。

まだまだ人形技師の見習い。

だったら、るちるは『誰の為にメイドールを作っている?』と訊かれて、何と答えるんだろう。

「なぁるちる」

「はい?」

「お前は誰の為にメイドールを作ってるんだ?」

おやっさんに投げかけられたのと同じ質問を彼女にぶつけてみる。

「……」

しばし黙考する彼女。

その停止したような時間が何分過ぎたのだろう。

「そうですねぇ…」

るちるはずり落ちかけた眼鏡を指先でクイッと押し上げた後。

「メイドール自身の為に、メイドールを作っているのかもしれませんねぇ」

そんな事を言った。

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