Maidoll Factory
「メイドール自身の為に?」

僕はオウム返しに問いかける。

るちるは大きく頷いた。

「まだおやっさんみたいに魔法エンジンは造れないけれど、私達もメイドールの肉体の造形を任されているじゃないですか。完成したメイドールが、誰からも愛されるように…幸せな人生を送れるように、ご主人様に可愛がってもらえるように」

そこまで言って、照れ臭そうに舌を出して。

「そんな答えじゃ生意気ですか?」

るちるは少し頬を染めて笑った。

…成程な。

僕は、僕よりも修行の足りてない見習い人形技師に教えられた気分だった。

お客様の為に。

それも間違いではないと思う。

だけど、僕らが作っているのは命ある自動人形なのだ。

ならばまず第一にメイドールの為にその技術を使わなければならない。

きっとおやっさんも、そんな事を僕に言いたかったんだろうと思う。

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