Maidoll Factory
それから先は…。

心ここにあらず、という奴だった。

思考が働かず、目で見ているようで何も視界には入らず…。

魂の抜けた…それこそ人形のように、のろのろとした足取りで地下室から階段を上がっていく。

気がつくと。

「先輩?何やってるんですか?」

僕はロッカールームに入って、自分の鞄に荷物をまとめようとしていた所をるちるに呼び止められていた。

「まだお店の営業時間終わってないですよ?何荷物まとめてるんですか」

普段の僕では有り得ない行動に、るちるが不審な目を向ける。

「あぁ…」

僕は虚ろな視線を彼女に向け、力なく笑った。

「もうこの店辞めるから…身の周りの整理しようと思ってね…」

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