Maidoll Factory
僕がこのメイドールファクトリーに勤め始めた頃、教えてもらった事がある。

メイドールは只の人形じゃない。

命の灯が入ってなくても、眠りについていても、皆生きているし、れっきとした生命なんだ。

放っておかれれば寂しいし、不安に感じて悲しみも感じる。

ましてや自分を選んでくれる主人が現れなければ尚の事だ。

だから店にいるメイドールは、みんな自分のパートナーだと思え。

一人一人に声をかけ、優しく触れて、大切に扱え。

返事がないからってぞんざいに扱うな。

彼女達はみんな、お前やそこらの人間よりも、ずっと無垢で繊細な壊れやすい存在なんだ。

…以来、僕は朝には必ずこの部屋の皆に挨拶に来る。

気持ちよく目覚められるように。

彼女達にも楽しい一日が訪れるようにと。

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