Maidoll Factory
僕が呼んだ彼女達の名前は、全てこの工房でのみ通用する名前だ。

本当の名前ではない。

本当の名前は、彼女達を買い取ってくれた主のみがつけられる。

だからここでの本来の名前は『メイドール54号』とか『メイドール61号』とかいう番号に過ぎない。

だけどそれではあまりにも味気ないから、工房の人形技師の間でのみ通用する名前を決めているのだ。

勿論彼女達が買い取られた後、新しく生まれてくるメイドール達にも名前がつけられる。

彼女達が買い取られるまで、僕らは彼女達のパートナーであり家族なのだ。

…いや、訂正しよう。

買い取られてからも、彼女達は僕らの大切な家族だ。

もし買い取られた先で何か起きて、故障やトラブルが起きたとしたら…メイドールファクトリーの人形技師は全力を以って彼女達をケアする。

家族として、当然の事だ。

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