殺し屋
優秀な狙撃手
 此の国で最も治安が悪い町、『ワースト』。
 噂程度には聞いているが、訪れるのは初めてだった。
 実際見てみると、それは無惨な風景だった。
 建物の殆どが半壊しており、異臭が漂い、空気が重い。更に、人っこ一人歩いていない。
 まあ、こんな状態の町を歩く奴の気なんか、大凡狂人と相場は決まっている。
 俺はサイドバッグから紙を取り出しながら、ぼやく。
「何で、狙撃屋の正体を教えてくれないんだよ……」
 TRは、「狙撃手は匿名性が命なんだ」等とごまかし、結局協力者の正体を知ることは出来なかった。
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