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ただ立ち尽くしていると、社長は時計を見て、「もうこんな時間」と呟き、立ち上がってコートを羽織った。

「私、これから打ち合わせがあるから」

一緒に社長室を出て、エレベーターに乗り込む社長を見送った。
最後に肩を叩かれ、「よろしくね」と微笑まれた。同性でもドキドキするくらいの美女だ。相変わらず。

「お疲れさまです」
「お疲れ」

静かにエレベーターのドアが閉まる。
そのフロアに取り残された私は、一人ぽつんと佇んだまま。

彼には、柏木さんが必要…。

その意味が私にはまだ、分からなかった。




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