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それからは、自然と仕事にも力が入るというものだ。

雑誌の撮影が終わり、今日も椎名さんの車で家まで送ってもらっていた。
車内のBGMに合わせて鼻歌を歌っていると、椎名さんが不審そうにこっちをチラ見する。

「なんか…ご機嫌ですね」
「明日、部屋探してくるんだ」
「そうなんですか」
「仕事も昼には終わるし…楽しみだなー」

そんな感じで上機嫌な俺。
椎名さんは「良かったですね」と微笑んでいるが、どこか何か言いた気な表情だった。
言いたいことは分かっている。
でも、言えないことも分かっている。
ごめん、椎名さん。
きっと上手くやれると思うから。だから許して欲しいんだ。



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