non title
何もない空っぽの広い部屋を見渡して、虚しさに襲われる。
いつから距離を感じるようになったのだろう。
触れ合っても、遠く感じることがある。変わらないなんて、到底無理だったんだ。
だけど、これでまた何か変わる気がする。
悪い方に転ぶかもしれない。良い方に転ぶかもしれない。それはまだ分からないけれど。
「……ここにします」
「え?他の物件は、見なくても良いんですか?」
「はい、決めました」
少し、料理でも勉強しようかな。
広いベランダから、東京の高い空を眺め、ハルナは深く息を吸い込んだ。