non title
08、濡れた髪
08、濡れた髪
いつもの講義室に行くと、高橋がすでにハルナの席を取っておいてくれたみたいで、そこに当たり前のように腰を下ろした。
高橋はハルナの顔を見て、驚いた表情。
「目腫れてるよ?」
「うん、ちょっと寝不足」
堪え切れずに、ハルナは大きく欠伸をした。
口を手で押さえさないと高橋がお母さんみたいなことを言ってきたけど、気にせず目を擦った。
「昨日ね…部屋見てきたの」
「新しい部屋?いつから同棲すんの?」
「まだ分かんないけど…ユウが来月に長いお休み貰えるらしいから、その時に」
「ふーん、良かったじゃん」
「うん」
ハルナがそう言うと、また高橋は驚いた表情をする。
先生がやってきて、講義が始まった。ハルナはまた大きな欠伸を一つ。
まばらに見える他の学生達の背中をぼーっと眺めてた。