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09、成長している
09、成長している
親友のハルナがバイトを始めるらしい。
高校時代に数回バイト経験はあるものの、それを「経験」と呼んで良いものかは分からない。それくらいの短期間。
そもそもハルナには向いていない。すぐに「先輩すぐに怒るから怖い」とか何かと弱音を吐いて辞めてしまう。
1ヶ月以上続いたことなどなかった。
もういい加減、諦めたら良いものを。
こう言っては何だが、この社会でハルナみたいな人間はとても不利なのだ。
そのくせ、ちゃっかりと玉の輿街道まっしぐら。
高校の時に付き合い始めた彼氏が、瞬く間に売れっ子俳優とは、お目が高かったというか素晴らしく運が良かったというか。
そうだ。
ハルナは昔から人並み外れて運だけは良かった。むしろ運だけで生きてきたと言っては過言ではないくらい。