non title
しかし時間が必要とは言ったものの、今の俺に暇な時間などほとんどなかった。
仕事の合間にもやらなくてはならない事はたくさんあった。
雑誌のアンケートやら、台本を読んだりとか、色々。
今だって、控え室でメイクをしてもらいながら、ドラマの台本をチェックしていた。
「どうしたの?元気ないわね」
この人は、俺の専属のメイクさん、シンディ。
話し方はアレだけど、一応男の人。
「男だけど女よー」という名言を持つ、まぁ所謂おネェ系。言葉遣いも仕草もいちいち面白いんだけど、凄腕のメイクさんで、この業界ではなかなかの有名人。
それに話していて楽しいし、俺はこの人が大好きだ。
…いや、もちろん俺にそっちの趣味はないけど。
そんなシンディと鏡越しに目があった。