海の少女と空の少年
「海の結晶を取りに来たって言うの?」
そんなこと、認められるはずがない。
第一、カイトはここに忍び込んで、勝手に結晶を持って行こうとしていた。
怪しいにも程がある。
「盗みを見られたから、言い訳をしてるだけじゃないの?」
「違う!本当に結晶が必要なんだ。
ただ…」
カイトはそこで口をつぐんだ。
「ただ…?」
「時間がなかった…
一人で焦って、俺、どうにかしてたんだ。」
シオンは怪訝そうにカイトの方を見た。
どうしようもない言い訳だ。と、一笑することが出来なかった。
それ程にカイトの瞳は真剣だった。