海の少女と空の少年
ぎょっとして振り返ると、カイトがさっきと同じく渦を睨んでいた。
いや、むしろさっきよりも怖い顔をしている。
カイトが黙って様子を見ていると、渦の方から声がした。
「よく俺だって分かったな。」
見るとカイトと同じ種類の服を纏った少年が立っていた。
さっきまでの渦は、今はげんこつサイズになって、少年が伸ばした人差し指の上でクルクル回っていた。
少年はカイトを見下ろすと、嘲笑を浮かべた。
「まぁ、予想ぐらいは出来るか。
何たって、仲間裏切って追われてんだもんな。」