海の少女と空の少年
「違う!俺は何もしてないって
何度言ったら信じてくれるんだ!!」
カイトが声を張り上げた。
が、その叫びは少年に一笑された。
「何人も目撃者が居るんだぜ?
何をどう信じろって言うのさ。」
少年の瞳は鋭く、声は冷たかった。
言葉の端々から嫌悪感が滲み出ている。
「違うんだ!」
カイトが少年を見据え、繰り返した。
カイトを見下ろし、少年はため息を漏らした。
「もう、言い訳はうんざりなんだよ。
今日はそんな事を言い合いに来た訳じゃないんだ。」
そう言うと少年は指先をカイトの方へ向けた。
渦は再びその大きさを増していき、水の刃がうなりをあげる。