海の少女と空の少年
「あぁ、ラウドの事だよな…」
カイトの言葉に頷くと、シオンは真剣な面持ちでカイトを見つめた。
「あの人はどうしたの?」
シオンは祈る様な気持ちで問い掛けた。
(どうか無事でいてくれますように…!!)
しかし、カイトの答えは予想とは全く違うものだった。
「あいつは、逃げたよ。」
カイトが言った。
「何って?」
「だから、逃げたんだ。アンタの攻撃の混乱に乗じたんだよ。」
そう言ってカイトは上を指さした。
見上げると、割れたガラス天井がぽっかりと口を空けていた。
そこから逃げたという事だろう。
…いや、大事なのはそんな事じゃなくて
「ラウドって人、あなたに用があったのよね?
罰するとか、何だか物騒な事を言ってたけど…
どうして逃げる必要があるの?」